ショック・ドクトリン(下) 惨事便乗型資本主義の正体を暴く
ナオミ・クライン 著 幾島幸子 翻訳 岩波書店
内容情報
ショック・ドクトリンは、一九七〇年代チリの軍事クーデター後の独裁政権のもとで押し付けられた「改革」をモデルとし、その後、ポーランド、ソ連崩壊後のロシア、アパルトヘイト政策廃止後の南アフリカ、さらには最近のイラク戦争や、アジアの津波災害、ハリケーン・カトリーナなど、暴力的な衝撃で世の中を変えた事件とその後の「復興」や、(IMFや世界銀行が介入する)「構造調整」という名の暴力的改変に共通している。二〇〇四年のイラク取材を契機に、四年をかけた努力が結実した本書は、発売後すぐ、絶賛する反響が世界的に広がり、ベストセラーとなった。日本は、大震災後の「復興」という名の「日本版ショック・ドクトリン」に見舞われてはいないだろうか。3・11以後の日本を考えるためにも必読の書である。
書籍の主な内容目次
第4部 ロスト・イン・トランジションー移行期の混乱に乗じて 資本主義への猛進ーロシア問題と粗暴なる市場の幕開け 拱手傍観ーアジア略奪と「第二のベルリンの壁崩壊」 第5部 ショックの時代ー惨事便乗型資本主義複合体の台頭(米国内版ショック療法ーバブル景気に沸くセキュリティー産業 コーポラティズム国家ー一体化する官と民 第6部 暴力への回帰ーイラクへのショック攻撃 イラク抹消ー中東の“モデル国家”建設を目論んで 因果応報ー資本主義が引き起こしたイラクの惨状 吹き飛んだ楽観論ー焦土作戦への変貌 第7部 増殖するグリーンゾーンーバッファーゾーンと防御壁 一掃された海辺ーアジアを襲った「第二の津波」 災害アパルトヘイトーグリーンゾーンとレッドゾーンに分断された社会 二の次にされる和平ー警告としてのイスラエル ショックからの覚醒ー民衆の手による復興へ
著者情報
クライン,ナオミ(Klein Naomi)
1970年、カナダ生まれのジャーナリスト、作家、活動家。デビュー作『ブランドなんか、いらない』が世界的ベストセラーとなり、一躍、反グローバリゼーションの語り部となる。『ニューヨーク・タイムズ』『ガーディアン』『ネーション』など、さまざまな媒体で記事を発表している。トロント在住
幾島幸子(イクシマサチコ)
翻訳家
村上由見子(ムラカミユミコ)
著述家(表象文化、エスニック研究)。慶應義塾大学非常勤講師
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